ディアーヌ・ベルトランの映画『薬指の標本』を見ましたが、その幻想怪奇にはまってしまい、地下の標本技術室の扉は黄泉に通じる扉なのかどうか確認したくて原作を読みました。あらすじ等はこっちをご参照(ストーリーは映画≒小説です)。

薬指
主人公は勤めていたサイダー瓶詰め工場で、機械に指を挟み込まれ薬指の先端を失います。薬指は象徴で別に何でもいいわけですが、大事なことは彼女が何かを喪失したということでしょう。

標本および地下室
 火災で両親と弟を喪った少女が登場します。彼女は焼け跡に生えたキノコを見つけ標本にするため標本室を訪れます。
(ブルーの文字は引用です)
ここで標本にしてもらうのが一番いいだろうと思いました。燃えてなくなってしまったもを全部、きのこと一緒に封じ込めてもらいたいんです(少女)

きのこはいつ、彼女に返されるんですか(わたし)

返しません。標本は全部、僕たちで管理、保存するんです。そういう決まりになっています。もちろん依頼者たちは、好きな時に自分の標本と対面することができます。でも、ほとんどの人がもう二度とここへは現れません。きのこの彼女もそうです。封じ込めること分離すること完結させることが、ここの標本の意義だからです(弟子丸標本技師)