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映画 トリコロール/青の愛(1993仏) [日記(2011)]

トリコロール 青の愛 [DVD] フランスの国旗、三色旗の青は自由、白は平等、赤は博愛(友愛)を表しますから、トリコロール三部作の第一作『』は自由について何事かを語る映画なのでしょうか。しかしBlueMondayという言葉があるように、青は憂鬱、孤独というイメージもあるので、そう簡単に考えていいのかどうか、です。

 交通事故で夫と娘を失った
ジュリー(ジュリエット・ビノシュ)の再生の物語と思われます。絶望から自殺を図りますが死ねず、家屋敷を処分し街のアパートでひとり暮らしを始めます。夫は高名な作曲家だったようで、ジュリーは作曲途中の楽譜を処分し、何故か夫の友人オリビエ(ブノワ・レジャン)を呼び寄せ身を任せます。呼び寄せる前に、『今でも愛しているか?』とオリビエに聞いていますから、夫の生前、精神的な?三角関係にあったのかもしれません。たぶん、楽譜を処分しオリビエに身を任せることで過去を清算したのでしょう。
 一人暮らしを始め、過去が清算できたのかというとそう簡単にはいきません。簡単に精算できるほど人の過去は軽いものではなく、捨てよう逃れよう(自由になろう)とするほど過去は追いかけてきます。

 処分したはずの未完の楽譜が現れ、それがEU統合式典の交響曲であったため、完成をオリビエが引き継ぎます。また楽譜と一緒保管されていた写真から、夫の恋人の存在が発覚します。逃れよう(自由になろう)としても追いかけてくる過去(過去が生み出す現実)にジュリーはどう向かい合うのか、たぶんこれがモチーフでしょう。
 楽譜、夫の恋人、オリビエ、ジュリーと自分の妹の区別がつかない認知症の母親、舞台の最前列に父親を発見したストリッパーの絶望、物置で子供を産んだネズミ、ジュリーはブルーのプールで逃れる様に抜き手を切って泳ぎます。逃れられるのか?。

 ジュリーがオリビエに身を任せたのは、家具を売り払った自宅の捨てられたマットの上でした。この時ジュリーは電話でオリビエを呼び寄せています。ラストで、このマットをオリビエが保管していることを知ったジュリーはオリビエに電話で伝えます『これから会いに行く』と。現実と向き合うジュリーを予感させて映画は終わります。

 もうひとつ、青では音楽が重要な鍵となっていると思われます。夫の残した未完成の交響曲をジュリーは自ら完成させようとします。どうもこの交響曲の真の作曲者はジュリーであるようですが、この行為も彼女が逃げずに現実と向き合うようになったことを表しているのでしょう。楽譜に指を触れるとシンフォニーが流れ、彼女が『打楽器を外して』『金管楽器も外して』『ピアノをかぶせて』と言う通りに音楽が流れます。ジュリーの恍惚の表情のバックに愛を歌った歌曲が流れます。マーストリヒト条約が1993年とこの映画の製作年と一致していますが、この愛の賛歌はEU発足を祝したものなのでしょうか?愛がすべて?

 トリコロールは『』→『青』と来ましたので次は『白』です。

監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
出演:ジュリエット・ビノシュ ブノワ・レジャン
 
【追記】 
三部作を見ました ⇒青の愛白の愛赤の愛 

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