第一部は
第1編『ある家族の物語』
第2編『場違いな会合』
第3編『女好きな男ども』 の3編から成り立っています。

 第1編でカラマーゾフ家の履歴と父フョードルと三人の息子達が紹介されます。長男ドミトリーは先妻の、次男イワンアレクセイ(アリョーシャ)は後妻の子で、最初の妻は若い男と駆け落ちし、二番目の妻は狂い死にします。吝嗇で好色で道化の父親フョードルは妻の墓さえ建てず、三人兄弟は下男のグリーゴリーとマルファに養育されます。こうした環境で成長した兄弟と、兄弟を見捨てたような父親の物語の様で、『カラマーゾフの兄弟』はカラマーゾフ家の愛憎劇かと思わせる幕開きです。