原題は“The End of the Affair”、グレアム・グリーンの「情事の終わり」(1951)」の映画化です。1944年のロンドンを舞台に、小説家モーリス(レイフ・ファインズ)と人妻サラ(ジュリアン・ムーア)の不倫を描いています。
 冒頭、主人公モーリスによってこれは憎しみの手記であること、憎しみの対象は情事の相手サラ、サラの夫ヘンリー(スティーヴン・レイ)、あるいは「第三者」なのか?という謎が投げられ、誰に対する何に起因する憎しみなのかを解き明かす、ミステリー仕立てのラブストーリーです。「愛の終わり」の物語を、あえてaffair=情事としたところに、グレアム・グリーンの(モーリスの)作為が感じられます。
 小説の邦題は「情事の終わり」、映画のタイトルは「ことの終わり」と直接的な表現を避けていますが、どちらも隠されたタイトルは「愛の終わり」です。