東京が停電となったクリスマスイブに、6組の男女の愛の模様を描いたオムニバスです。大都会が停電になるという非日常の世界で、人の心も妖しくさざ波立ちます。


 偶然出会った元恋人(原田知世)と撚りを戻そうと足掻くジャズバーのマスター(豊川悦司)。左遷で都落ちを機に不倫を清算しようというサラリーマン(田口トモロヲ)。停電の闇に触発された妻(淡島千景)に不倫を告白された初老の男(宇津井健)。

 この三人の愛のかたちを軸に、出産間近の元恋人(寺島しのぶ)を背負い病院を目指して地下鉄の線路をたどる元ヤクザ(吉川晃司)。停電で停止したエレベーターに閉じ込められたホテルのボーイと若い女(井川遥)。自殺をしようとする女性を助け、自転車で闇の東京をさ迷う中学生。この三組の男女模様が描かれます。


 豊川悦司が忘れられないは原田知世は田口トモロヲの妻、トモロヲの不倫相手はエレベーターにとじ込まれた女性であり、トモロヲは淡島千景の不倫の子という関係性が、この映画のキモ?。


 夫の不倫を知り離婚を決意する原田知世は豊川悦司のジャズバーに現れるのか?、田口トモロヲは原田知世を選択するのか?、宇津井健は子供までなした妻の不倫を許すのか?、灯りの消えた東京の闇の中で、キャンドルの光は人の心の闇を照らし出し、壊れた関係性を癒すという物語です。


 キャンドルショプの田畑智子が解き明かす、元ジャズのベーシスト豊川悦司と原田知世の過去、→陳腐といえば陳腐。豊川悦司に絡んでこない井川遥とホテルのベルボーイ、自転車で闇の東京をさ迷う中学生、舌足らずの部分もありますがけっこう見せてくれます。


監督:源孝志

出演:豊川悦司 田口トモロヲ 宇津井健 淡島千景 原田知世 吉川晃司 寺島しのぶ