リドリー・スコットの監督作品ということで見ました。『十戒』(チャールトン・ヘストン)のリメイクだそうですが、『グラディエーター』のリドリー・スコットですから、新しいモーセが描かれる筈です。

 モーセに関する知識が無いので、wikipediaで予習(笑。


『旧約聖書』の『出エジプト記』によれば、

・モーセはエジプトでヘブライ人(ユダヤ人、イスラエル人)として生まれた。ヘブライ人はエジプトの奴隷階級。

・ファラオは、ヘブライ人が増えすぎたので新生児を殺害することを命じ、モーセはナイル川に流された。

・ファラオの王女に拾われて(王族として)育てられ、「モーセ」と名づけられた。

・実の母親が王女に雇われ、モーセの乳母となった。

・エジプト人に虐待されているヘブライ人を助けようとし、エジプト人を殺害してしまう。

・モーセはアラビア半島に逃れてミディアンの地に住み、ツィポラという羊飼いの女性と結婚し、羊飼いとして暮らした。

・モーセは、ヘブライ人を約束の地(レスチナ周辺)へと導く神託を受ける。

・神は、みずからを「わたしはある者」と名乗った。

・エジプトに戻ったモーセは、ヘブライ人退去をファラオに求めたがファラオは拒絶。そのため「十の災い」がエジプトを襲った。

・十の災いとは、


    1. ナイル川の水を血に変える、2. 蛙を放、3. ぶよを放つ、4. 虻を放つ、5. 疫病を流行らせる、6. 腫れ物を生じさせる、7. 雹を降らせる、8. 蝗を放つ、9. 暗闇でエジプトを覆う、10. 長子を皆殺しする

・ファラオは、ヘブライ人たちがエジプトから出ることを認めた。

・ヘブライ人がエジプトを出ると、ファラオは戦車と騎兵からなる軍勢を差し向けた。

・紅海に至った。モーセが杖を振り上げると海が割れヘブライ人たちは紅海を渡ることができた。

・モーセを追ファラオの軍勢は海に沈んだ。

・シナイ山に近づくと、神が山上に現れモーセは山に登って十戒を受けた。

・モーセは40年にわたって荒野をさまよった。

 で映画を見ましたが、予習そのママ!。リドリー・スコットの顔は何処にもありません。「十の災い」や有名な海が割れてヘブライ人が紅海を渡る神話も、何のヒネリも無し。モーセの神話を下敷きに『出エジプト記』を換骨奪胎、リドリー・スコットのモーセ(クリスチャン・ベール)が描かれていいはずです。

 モーセは、被抑圧民族ヘブライ人を率いてエジプトを脱出するわけですから、ヘブライ民族の指導者、エジプトにとっては一種の革命家です。奴隷解放を目論んだスパルタカスのような存在。圧政と搾取に反旗を翻し、ゲリラ戦でラムセスを翻弄してもいいわけです。「十の災い」はゲリラ戦として描けば面白かったと思うのですが。リドリー・スコットにしては駄作と言わざるを得ません。

監督:リドリー・スコット

出演:クリスチャン・ベール ジョエル・エルガートン ベン・キングスレー