文書(ファイル)はフォルダを作ってTree構造で管理するものだと思ってきました。メモ帳と言えばTreeExploreの様な階層をイメージします。例えば、私のザウルスでは下の様な構造になっています。SDメモリにデータを置き,書き散らす文章やメモは「txt」フォルダを作って管理しています.txtフォルダの中にパーソナル、仕事、工作、読書、電脳というフォルダがあり、読書の下に購入予定、2006年、2007年のフォルダがあり、読みたい本や読んだ本の簡単なメモが納まっていると云う構造です。
EBtではどうなっているかと云うと,
一見,同じですね.どちらも階層構造です.ところが,「読書」でEnterKeyを押すと,
↑の画像の様に,読書を中心とした階層が現れます(もっとも,この「読書」の2006年・2007年はこの備忘録作成用に作ったもので,普段の「読書」の中身は「購入予定書籍」だけです).002は「ルート」を主人公とした風景,003は「読書」を主人公とした風景と考えてもよいと思います.ですから,003には「ルート」が脇役として顔を出しています.「ルート」は何処にでも飛べるワイルドカードのようなものです.さらに「村上春樹」を主人公とすると
↑の様に村上春樹の各小説が並びます.何故こうなるかと云うと,村上春樹の各小説同士にリンクを張っているからです.リンクの張り方によって,好きなグループの編成が可能になります.
EBtにもディレクトリ,フォルダ、ファイルという概念はあるにはあるのですが、このフォルダ間の上位下位(親子)関係をリンクという概念で関連づけ、上下(親子)関係を無くしてしまっています。云わば、ファイルは1枚の独立したカードと見なされ、カードとカードはネットワーク状になったフラットなメモ帳なわけです。
文章にすると分かりにくいですが図で書くと,
これがわたしのEBtの現状です.「EBt」の中身はこの文章を書くための下書き用「カード」です.「読書」の「2006年」の下に,村上春樹などの作家の感想文が入っています.この村上春樹の各小説同士に相互にリンクを張っていますから,↓のようなイメージです.
EBtを使いこなすのは正直難しいです.フォルダの構造が、大分類→中分類→小分類→ファイルというデレクトリ構造を持っています(親→子→孫の入れ子構造)。この階層構造の概念を一旦捨てないとEBtは使えません。TreeExploreからEBtへ頭を切り替えるのは結構骨がおれました。EBtをメモ帳と云うなら、全く異なった発想のメモ帳?です。
Tipsと言うほどのことはありませんがちょっとしたヒント。一つのテーマに沿ってファイルをいくつか作ると、思いどおり順番に並びません。これは、題名の頭に数字を付けてやると解決します。アルファベットでもいいでしょう。
思いつくままに書いたメモを並び替えて文章をまとめることができます。あれこれ並び替えて新しい発想(イメージ)を膨らませることも可能です。A-1、2,3 B-1,2,3と番号を振れば章立ても可能です。ファイルをカードに見立てて、あれこれ考えるのに適しています。
EBtは、左の窓に題名が右の窓に文章が表示されるので、こうした用途に向いていると思います。カードとして利用するには、文章はスクロールせずに右の窓に収まる分量が適量でしょう。
実を言うと、これはEBt本来の使い方ではありません。各カードは親カードEBtにはリンクしていますが、1承前~以降のカードは互いにリンクしていません。全カードにリンクが張られてこそEBtの実力が発揮されるというものでしょう。
EBtの優れたところは,ファイルとファイルの関係を見ながら新しいファイルが作成される発想の妙でしょう。これは、現代によみがえる京大式カードや川喜田二郎氏のkj法です(古い話題ですが)。AとBのカード(データ)から新たなカードC(イメージ)が創造され,複数のカードがグループ化され新しい題名(概念)が形成されるわけです。
人間の脳は3百億のニューロンがあり、それをつなぐ千兆個のシナプスがあるらしいのですが、ちょうどEBtもそんな感じかもしれません。メモ帳,ノート,電子手帳はこの「脳みそ」の活躍領域を広げてくれる道具です.
蛇足
一番悩むのはZeditortとEBtの使い分けです.私の場合,Zeditor →短文作成,EBt →単純メモの作成及び(↑で述べた)メモを章立てにして長文作成と使い分けています.
感謝!
開発元の無茶な実験室さん →http://www001.upp.so-net.ne.jp/tokada/SL-C700/ebt_index.html
無茶な実験室さんのココログ出張所 →http://tio.cocolog-nifty.com/irrational/zaurus/index.html
詳しい操作方法はweb検索をかけると出てきます.
【追記】
kj法を思い出して,検索すると
KJ法本部・川喜田研究所 →http://www.kj-method.jp/
がひっかかった.先生,未だ頑張っておられるのだろうか?1920年のお生まれだから87歳.20年近く前,会社の同僚数人と川喜田研究所で泊り込みの研修を受けたことがある.kj法の講義を受けて,実務の解決方法を見出すという実際的な研修だった.実務に役立ったかどうか忘れたが,脱線に次ぐ脱線の講義が面白かったことだけ憶えている.