ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: マイクル コナリー
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: 文庫


 ロス市警のヒーローにして一匹狼のヒロエニムス・ボッシュハ不祥事で追い出され、所轄の『下水』と呼ばれるハリウッド署に飛ばされたボッシュは、パイプ(土管)の中で致死量の麻薬を打って死んだベトナム戦争当時の同僚と再会します。ふたりはベトナムで、地下トンネルから北ヴェトナムゲリラを狩り出す『トンネルネズミ』と呼ばれる工作兵の部隊に所属していたというつながりがあったのです。戦友の死に疑問を抱いたボッシュが捜査を進めるうちに、トンネルを掘った銀行強盗事件にゆきあたり、『トンネルネズミ』の影が濃くなってゆきます。

 捜査の為に古巣市警本部に行った際の描写は、ハリー・ボッシュが如何なる警官かを如実に描写しています。

「ボッシュはテーブルの下で片足をあげ、向かいの椅子を相手のほうに蹴りだした。椅子はテーブルから飛び出し、背もたれが刑事の股間に命中した。相手は身をふたつにおり『うっ』という声をあげ、椅子をつかんで体をささえた。ボッシュは自分の評判が相手にようやく浸透したのがわかった。ハリー・ボッシュ 一匹狼、喧嘩屋、殺し屋。かかってこい、小僧、どんなことでもやってみろ。」