アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

  • 作者: フィリップ・K・ディック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1977/03/01
  • メディア: 文庫
 映画『ブレードランナー』の原作です。
 物語の背景は、最終核戦争の後、人類は、死の灰に汚染された地球に残留する人々と、惑星植民地に移住した人々に分かれて暮らしている、という世界です。驟雨の様に死の灰の降る北カリフォルニアを舞台に、地球に密航したアンドロイドを狩る賞金稼ぎとアンドロイドの戦いの物語です。
 主人公は、サンフランシスコ警察に所属し、地球に密航したアンドロイドを狩る『バウンティン・ハンター』のリック・ディッカード。アンドロイドを廃棄処理する賞金稼ぎと言うわけです。作者は『ネクサス6型』という2兆の素子(脳細胞)を持った人間と拮抗する能力を持ったアンドロイドを創造します。この仕事は簡単ではなく、人間世界に紛れ込んだ人間と全く同じ姿と能力を持ったアンドロイドを見分けなければなりません。何をもってアンドロイドと人間を区別するのかが一番の問題です。アンドロイドと人間はどう違うのか、人間が人間たる所以は何なのかを問うところに物語の主題があります。