春灯雑記

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1991/10
  • メディア: ハードカバー
 『街道をゆく』を2冊読つみ、つられて司馬遼の未読在庫消化です。
 講演が3編、エッセイが2編収められていますが、なかでも『街道をゆく』のスコットランド版のような『仄かなスコットランド』、日本の『猿真似』を擁護したロンドンでの講演『義務について』が面白いです。

 スコットランドの話ですから、当然にメアリー・スチュアートが登場します。当時のスコットランド、イングランド、フランスの輻輳した婚姻関係を作家は『もつれた毛糸玉』と表現し、王位継承権を『変な数式』と書きます。メアリーがスコットランド女王にしてフランス王妃、イングランドの王位継承権を持つことを指しています。エリザベスⅠ世との確執で斬首されますが、刑場に現れたメアリーの出で立ちは、黒いマントの下は深紅のドレスだったといいます。メアリーに対する並々ならぬ思い入れがあるようです。