映画 ミスティック・リバー(2003米) [日記(2010)]
クリント・イーストウッド監督です。先日観た『父親たちの星条旗』はドラマ性に欠け今ひとつ乗れなかったのですが、『ミスティック・リバー』は楽しめました。脚本がどうのと云う問題ではなく、たぶん起用した俳優のせいでしょう。ショーン・ペン、ティム・ロビンス、マーシャ・ゲイ・ハーデンの演技で、ストーリーに引きずり込まれます。
ひとつの殺人事件を引き金に、幼なじみだった3人が25年の時を越えて会します。25年の歳月は少年たちを、ひとりは刑事に、ひとりは殺人の被害者の父親に、もうひとりを殺人の被疑者に変えるわけです。
殺人の被害の父親であるジミー(ショーン・ペン)は刑務所の経験を持つ元犯罪者、今は足を洗って小さな雑貨店を経営しています。妻を亡くして再婚し、生まれ育ったボストンの下町で暮らしています。
ショーン(ケビン・ベーコン)は大卒の刑事、妻とうまく行かず離婚一歩手前というトラブルを抱えています。
殺人の被疑者となるデイブ(ティム・ロビンス)は、これも生まれ育った下町で妻と幼い息子と3人暮らしています。
3人は幼馴染みでしたが、デイブが誘拐され性的暴行を受ける事件が起き3人の少年時代は終わります。それぞれが自分の道を歩くわけですが、ジミーの娘の殺人事件によって25年振りに3人に少年時代の濃密な関係が生まれることとなります。
冒頭で、ジミー、ショーン、デイブの3人が道路でホッケーをしていて、道の端の暗渠にボールを落としてしまうシーンがあります。デイブが息子に、この暗渠には無くした野球のボールが何百個と詰まっている、と言います。この暗渠の先には『リバー』が流れていますね。また、ジミーはデイブを殺して川に捨てます。
『ミスティック・リバー』とは何でしょう?総てを飲み込んで流してしまう川、ゆったりと流れる川面の下には、人々が失ったもの捨て去ったものが堆積している川なんでしょう。そしてまた川の流れは、歳月の流れの象徴でもあります。
ショーン・ペンは『デッドマン・ウォーキング』の演技も感心しましたが、ジミーの存在感も素晴らしいです。監督としても『イントゥ・ザ・ワイルド』という佳作を撮っています。ティム・ロビンスはかの『ショーシャンクの空に』で有名ですが(そう云えば『宇宙戦争』にも出ていた)、『デッドマン・ウォーキング』で監督やってました。ふたりとも才人ですねぇ。マーシャ・ゲイ・ハーデンは『ミスト』が印象的でした。『MATRIX』のローレンス・フィッシュバーンは太っていて別人かと思いました。なかなか豪華な配役です。
クリント・イーストウッドは『グラン・トリノ』『ブラッド・ワーク』『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』『父親たちの星条旗』『ミスティック・リバー』といろいろ見てきました。80歳近くになっても精力的に映画を撮り続ける姿には圧倒されます。生誕80歳とかで、5月にNHK BSで特集をやるようです。『荒野の用心棒』でも見て俳優としてのクリント・イーストウッドも堪能しようかと思います。
監督:クリント・イーストウッド
出演:
ショーン・ペン
ティム・ロビンス
ケビン・ベーコン
マーシャ・ゲイ・ハーデン
ローレンス・フィッシュバーン
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