映画『ヒマラヤ杉に降る雪』を見て映像とストーリーの静謐感に感心し、評判のいい原作『殺人容疑』を読んでみました。映画の項でも書きましたが、WWⅡの米国の日系人排斥運動に起因する1954年の殺人事件の謎を解くミステリー、法廷ドラマです。
  映画では、殺人事件の謎解きを背景にイシュマエルとハツエの過去に分け入り、アメリカ人の青年と日系人の娘のすれ違いの愛を描いています。原作を読んでみると映画は原作に忠実に作られていることが分かります。原作はもう少し違っていて、イシュマエル、ハツエを取り巻く登場人物ひとりひとりの陰影がくっきりと描かれていま
す。