『プロメテウス』の続編です。「コヴェナント」とは契約という意味らしいですが、登場する宇宙船の名称でストーリーとの関連はなさそうです。『プロメテウス』で人類起源の謎を探りましたが、『コヴェナント』ではエイリアン誕生の謎が描かれます。

 『プロメテウス』は、エリザベス・ショウとアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が人類起源の謎を求めて”エンジニア”の母星に行くところで終わっています。『コヴェナント』はその10年後、エリザベスとデヴィッドの後日譚といったところでしょうか。



 2000名の植民者と千数百体の人間の胚芽を乗せた宇宙船”コヴェナント”が植民星を目指します。コヴェナントは地球と似た環境の惑星を発見して降り立ち、この星がエリザベスとデヴィッドが目指した”エンジニア”の母星だったわけです。星を探査するクルーが病原菌に感染し「お決まりの」身体を食い破ってエイリアンが登場、探査船は爆発炎上。探査隊の救助に現れたのが何と『プロメテウス』のデヴィッド。



 人類の起源である”エンジニア”の母星ですから地球と似た環境の星だというのは当然の話で、エリザベスとデヴィッドはその母星を目指したのですから、デヴィッドがいても不思議はありません。頭だけだったデヴィッドは胴体手足のあるアンドロイに戻っています。デヴィッドはこの星で11年、エリザベスを宿主としてエイリアンを開発していたのです。デヴィッドは何故エイリアンを作ったのか?。これが『エイリアン コヴェナント』のテーマであり、主人公はデヴィッドです。


 コヴェナント号にもアンドロイド、ウォルター(マイケル・ファスベンダー)が乗り組んでいます。冒頭のシーンとこのウォルターとデヴィッドの会話からエイリアン誕生の謎が見えてきます、



  ・命に限りがある人間に比べアンドロイドは不死である

  ・デヴィッドはそんな人間に仕えることに不満をもっていた

  ・デヴィッドには新型アンドロイド、ウォルターには無い創造能力がある



 デヴィッドは「天国の奴隷」から「地獄の支配者」となるため、住人を滅ぼしエイリアンを創造しこの星の支配者になろうとしたのです(エイリアンはアンドロイドを襲いませんから)。「カントリーロード(ジョンデ・ンバー)」を電波のせて発信し、エイリアンのエサとして地球人をおびき寄せたというわけです。その罠に見事に引っかかったのがコヴェナン号。住人を皆殺しにしてエサ不足となったとしたら、笑える話です。


 そうはさせないとデヴィッドと戦うのがジャネット(キャサリン・ウォーターストン)。リプリー以下、エイリアン・シリーズはフェミニズムの映画です。ジャネットが勝ったのかというとさにあらず、辛くもデヴィッドの王国から逃れたコヴェナントに乗っていたのは、エイリアンの胚芽を携えたウォルターに化けたデヴィッドでした。コヴェナントが目指す植民星の惨劇を予感させて幕。



 面白いかというと、エンジニアを登場させ人類起源の謎提出した『プロメテウス』に軍配があがると思います。次作期待です。



監督:リドリー・スコット

出演:マイケル・ファスベンダー キャサリン・ウォータースト