引き続きゾルゲの(実際に製作し通信を担ったのはマックス・クラウゼン)の無線機がどんなものだったか考えてみます。

篠田正浩監督『スパイ・ゾルゲ
私の記事はここ と ここにあります。
(1)通信周波数です。
電波の到達距離を、東京~ナホトカ又はウラジオストック間の4,000kmと考えると短波による通信ですね。民家に大きなアンテナを建てる訳にはいかないですから、半波長(実際のアンテナの長さ)10m~20mの短波でしょう。夜間(スパイですから通信はやはり夜間ですね)4,000kmを小電力で通信する周波数を考えると、アマチュア無線バンドの7MHz、14MHz、現在の短波放送は5MHz、9MHz帯を使っていますから、5MHz~14MHzの間を使ったものと思われます。いずれも夜間に電波は安定して海外に届き、反対に国内はスキップするため見つかりにくいと言うメリットがあります。安定した発信を得るためには周波数が低い方が有利ですから、おそらく5MHz~7MHzを使ったのではないかと考えられます(もっとも、周波数を低く取ると、長いアンテナが必要となるデメリットはありますが)。