ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

  • 作者: 佐々木 譲
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/01
  • メディア: 文庫


 昭和15年(1940年)一機の零戦がベルリン・ガトウ飛行場に舞い降りた。『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』へと続く3部作の第1部です。
 ホンダF1チームを率いるエンジニアが、レース遠征先の西ドイツで老人の訪問を受けるところから物語は始まります。エンジニアは零戦の開発に携わった元海軍技術将校です。零戦を作ったエンジニアがF1を作り、レースに参戦したと大々的に新聞で報じられたためです。元飛行機整備工の老人は、1940年にベルリンの飛行場で零戦を見たことをエンジニアに伝え、ゲーリングと共に写った零戦の写真を示します。零戦がベルリンに舞い降りたという、記録に無いこの話に興味を持ったエンジニアは調査を続け、敗戦間近い1945年、ベルリンの混成飛行部隊(外人部隊)に日本人パイロットがいた事実、彼は零戦で日本から飛んできたと自ら語っていた事を突き止めます。