このスターリングラード攻防戦は『ドイツ軍および枢軸軍の戦死者は約30万人、ソ連軍は約50万人』といわれる『史上最大の市街戦』(Wikipedia)だそうですが、廃墟となった市街で市民を巻き込んで両軍が闘う消耗戦で、映画でもこの設定が生きています。戦争と云う異常の世界では、様々なエピソードが生まれたことでしょう。『スターリングラード』で描かれるのは、赤軍のザイツェフ(ジュード・ロウ )と独軍の兵ケーニッヒ少佐(エド・ハリス)の、狙撃兵同士の人知を傾けた一騎打ちです。
スターリングラードは、時の権力者スターリンの名を冠した街で、ヒトラー、スターリンのプライドをかけた闘いにもなるわけです。フルシチョフ(スターリンの後継者)が登場し、『スターリン』グラードだと言って死守を命じます。兵器において劣勢な赤軍の戦意高揚のため、プロパガンダに利用されるのが狙撃兵ザイツェフ。ザイツェフを英雄に祭り上げプロパガンダを推進するのが政治将校ダニロフ(ジョセフ・ファインズ)。このプロパガンダに対抗し、英雄ザイツェフを狙撃するためにベルリンからこれも名スナイパー・ケーニッヒ少佐が派遣されます。
物語は、ザイツェフとダニロフの友情と確執に市民兵ターニャ(レイチェル・ワイズ)がからみ、ラブロマンスあり、サスペンスあり、アクションありと、娯楽性もありなかなか良くできていると思います。
ドイツの狙撃兵ケーニッヒ少佐を演じるのがのエド・ハリスです。年の功と云うか、ジュード・ロウ、ジョセフ・ファインズを完全に喰って圧倒的な存在感を出しています。『
アビス』『
敬愛なるベートーヴェン』を見ているのですが、そのときは思わなかったのですがいい役者ですね。ジョセフ・ファインズは『
恋におちたシェイクスピア』。もうひとり、体制批判する赤軍兵士でロン・パールマンが出ています。『
薔薇の名前』にも出ていましたが、最近は『ヘルボーイ』『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』ですね。
ジャン=ジャック・アノーですが、『
薔薇の名前』『セブン・イヤーズ・イン・チベット』『スターリングラード』と観たので、次は『愛人/ラマン』を観ようかと・・・。
監督:ジャン=ジャック・アノー
出演者:
ジュード・ロウ
ジョセフ・ファインズ
エド・ハリス
レイチェル・ワイズ
ロン・パールマン