第三の男 [DVD] FRT-005

  • 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
  • メディア: DVD
  “第三の男”を見ると、スティーブン・ソダーバーグの“さらば、ベルリン”がこの映画へのオマージュであることがよく分かります。
 舞台は、第二次世界大戦後のウィーン。オーストリアはナチス・ドイツに併合されていましたから敗戦国で、戦勝国の米英仏ソの4カ国によって分割統治されています。例えばイギリス統治地区で事件を起こした犯罪者はソ連当地区に逃げ込めば英国軍は手出しが出来ないという、首都ウィーンには国境線があるようなものだったと思います。この分割統治という政治状況が映画に独特の暗さとエキチズムを醸し出しています。
 『第三の男』は、爆撃により廃墟と化したウィーンを舞台に、4カ国の諜報機関が入り乱れ・・・ではなくて、ヨーロッパの戦後の混乱期を舞台としたミステリー、フィルム・ノワールです。

 売れない米国人の作家ホリー(ジョゼフ・コットン)が友人のハリー(オーソン・ウェルズ)をウィーンに訪ねると、ハリーは交通事故で亡くなっていた、という葬儀のシーンから幕が開きます。葬儀は、英国軍のキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)が会葬者を見張り、謎の女性が参列しているというミステリアスな幕開き。