映画 テルマ&ルイーズ [日記(2010)]
(1991米 Thelma & Louise)
平凡な中年?女性テルマとルイーズが、ふとした弾みで犯罪を犯しそのまま突っ走ってしまうロード・ムービー。スーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスリの溌剌とした演技とドリー・スコットの演出が冴えわたります。『イージーライダー』のワイアットとビリーをテルマとルイーズに、ハレーをサンダーバード?に置き換えて、さらにパワーアップした1990年代のアメリカン・ニュー・シネマ(wikipedia)です。
たまには友人とふたりで気儘な旅がしてみたい。米国ですから、オープンカーを駆って広大な原野をすっ飛ばすということになるのでしょう。しっかり者の独身女性ルイーズと浮気性のダンナに愛想を尽かし気味のテルマはそんな旅行に出かけます。
途中で立ち寄ったレストランで、ちょっとハメを外したい気分のテルマは地元のチンピラに言い寄られ、危うくレイプされそうになります。ルイーズはテルマを助け、暴言を吐くチンピラを撃ち殺してしまいます。何も殺さなくとも、と想いますが、後に明らかになるように、ルイーズにはレイプされた過去があったのです。
ここから、テルマ&ルイーズ逃走劇が開始されます。このコンビが絶妙です。年上のルイーズはしっかり者、厄介な事が起こるとすぐパニックを起こすテルマを常にリードしてゆきます。ところが、ルイーズが逃走資金の全財産を失って落ち込むと、今度はテルマが強盗を働いて資金を稼ぎ、ルイーズをリードしてゆきます。スピード違反で捕まると、警官に銃を突きつけてトランクに閉じこめ、ふたりにちょっかいを出すタンクローリーを爆破し、ふたりの逃走は次第にエスカレートしてゆきます。
テルマが逃走の車内で呟きます、
わたし目覚めている気分
こんなに目覚めている気分は始めて
すべてが新しい、未来に希望があるって気分
犯罪を犯して逃走するテルマに未来があるわけは無いのですが、退屈な日常を吹っ切ったテルマのこれが再生の姿でしょう。
活きのいいテルマとルイーズに比べ、出てくる男性達は冴えません。ふたりを追う刑事にハーヴェイ・カイテルが起用されていますが、ふたりに同情的で中途半端、軟弱。ルイーズの恋人も、逃走資金に結婚指輪まで付けてルイーズを追いかけてきます。普段威張りチラしているテルマの夫は、テルマにブタ野郎と罵られる始末。唯一、テルマを引っかけてルイーズの全財産を奪う若かりし頃のブラッド・ピットが気を吐いています。
『アメリカン・ニュー・シネマ』ですから、ヒーロー達、いやヒロイン達は最期に華々しく散っていきますが、開放感に満ちたラストシーンです。
スーザン・サランドンは『デッドマン・ウォーキング 』の女性牧師より、『依頼人』や『NOEL/ノエル』、『テルマ&ルイーズ』の自立した強い女性が似合います。ジーナ・デイヴィスは始めてみましたが、優柔不断で人のいいテルマから強盗へと変身する様は見事。
監督:リドリー・スコット
出演者:
スーザン・サランドン
ジーナ・デイヴィス
ハーヴェイ・カイテル
ブラッド・ピット
【リドリー・スコット 全作品踏破】 ・・・残すは後2本
★デュエリスト (1977)
★エイリアン (1979)
★ブレードランナー (1982)
★レジェンド・光と闇の伝説 (1985)
★誰かに見られてる (1987)
ブラックレイン (1989)・・・予定
★テルマ&ルイーズ (1991)・・・今見ているページ
1492コロンブス (1992)・・・予定
★白い嵐 (1996)
★G.I.ジェーン (1997)
★グラディエーター (2000)
★ハンニバル (2001)
★ブラックホーク・ダウン (2001)
★マッチスティック・メン (2003)
★キングダム・オブ・ヘブン (2005)
★プロヴァンスの贈りもの (2006)
★アメリカン・ギャングスター (2007)
★ワールド・オブ・ライズ (2008)
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