フランスのレジスタンス運動を描いた『影の軍隊』を見ましたが、なかなか見応えのある映画でした。その中に、ジャン＝ピエール・カッセルがシモーヌ・シニョレの元に無線機を運ぶエピソードがあり、スーツケースにセットされた無線機がちらりと披露されています。ヨーロッパのレジスタンス、パルチザンの無線機として英軍供与のPARASETが有名ですが、『影の軍隊』に登場した無線機はType A MKⅢではないかと思います。
- 日記（2010）
映画に登場する無線機 Type A MKⅢ無線機
中央に丸い水晶発振子、その上にメータの窓、右下にダイヤル？右の箱にSPARESの文字。
間違いありませんね。
内部 おそらく受信部（7H7、7Q7？の文字が見える）
【Type A MKⅢの諸元】
●受信周波数：3.2～5.2Mc、5.0～9.0Mc
●4球スパーヘテロダイン方式（7H7、7Q7）
●電信送信機（水晶発振子制御）
●送信出力：5W（送信出力管不明）
●電源：AC100V～250V（バイブレーターによるバッテリ駆動可能）
●11 pounds、13 by 9 by 4 inches
Type 3 MK II B 2 Paraset
Type 3 MK IIという機種があり構造がすこし詳しく分かりました。
【Type 3 MK IIの諸元】
●受信周波数：3.1 to 15.5 MHz
●中間周波数：470 KHz
●電源：230V, 6.3V, 14V（97-140 V, 190-250 V AC）
●真空管：2x7Q7, 2x7R7
●送信周波数：3.0 to 16 MHz （with 4 plug-in tank coils）
●送信出力：20 W
●電源：500 V , 230 V, 6.3 V（97-140 V, 190-250 V AC）
●真空管：1xEL32, 1x6L6
フランス、オランダ、を始めポーランド、ハンガリー、チェコの東欧、ドイツ、イタリアまで、世ｒ－六把野反ファシズム運動を支援していたのがSOE（The Special Operations Executive）で、これらの無線機もSOEから供給されたようです。映画でも、リノ・ヴァンチュラとポール・ムーリッスが潜水艦で英本土へ渡り、武器の調達交渉をしています。この相手がSOEでしょう。Ｗｉｋｉｐｅｄｅｉａの中程に
Communications
SOE was highly dependent upon the security of radio transmissions. There were three factors involved in this: the physical qualities and capabilities of the radio sets, the security of the transmission procedures and the provision of proper ciphers.
SOE's first radios were supplied by SIS. They were large, clumsy and required large amounts of power. SOE acquired a few, much more suitable, sets from the Poles in exile, but eventually designed and manufactured their own, such as the Paraset. Some of these, together with their batteries, weighed only 9 pounds (4.1 kg), and could fit into a small attache case, although larger sets were required to work over ranges greater than 500 miles (800 km).
とありますが、東欧北欧からバルカン半島までカバーするためには、無線通信は重要な位置を占めていたんでしょう。
無線機を受け取ったシモーヌ・シニョレの一言です。
周波数が変わったの 石英がいるわ
石英には違いないのですが^^;。
この手の話題は
・Small British "Spy Set” PARASET・・・WWⅡのスパイと無線機
・Suitcase Radio SSTR-1・・・WWⅡのスパイと無線機
・映画『スパイ・ゾルゲ』の無線機 ① ・・・WWⅡのスパイと無線機
・映画『スパイ・ゾルゲ』の無線機 ②・・・WWⅡのスパイと無線機
・スパイゾルゲの無線機･･･受信機は並三？