雨の訪問者、狼は天使の匂い同様洒落たサスペンスです(不思議の国のアリスからの引用はありませんが)。主演は『俺たちに明日はない』のボニー、フェイ・ダナウェイ。
パリに住む若いアメリカ人夫妻、ジル(フェイ・ダナウェイ)とフィリップ(フランク・ランジェラ)。ジルは仕事にのめり込む夫とのすれ違いや異国で暮らす心労から神経症気味。夫の会社に勝手に辞職の電話を入れたり、同じ服を二度買ったり、傘を借りた事実が思い出せなかったりで、医者のカウンセリングを受けています。
映画は、少し精神に変調をきたしたジルとふたりの子供の日常をゆっくりと追います。特に若い母親と幼い息子の交情は見ていて微笑ましいです。事件が起こるまでのこの部分が長いですが、後半のミステリを盛り上げる伏線ですから我慢して見ましょう(笑。フェイ・ダナウェイのソフトフォーカスの映像は、彼女の精神を病んだ?美しさをあますところなく捉えています。
サーカスを見に行った帰り、ジルが眼を離したすきにふたりの子供が行方不明となり、やっとストーリーが動き出します。警察は、誘拐と精神を病んだ母親による殺人の両面から捜査を開始します。子供を誘拐したのは誰なのか?はたまた子供は母親に殺されたのか?サスペンスですからこの辺りでstop・・・。