イングマール・ベルイマンは、野いちご(1957)、叫びとささやき(1973)に続いて三本目。『野いちご』では78歳の老人の来し方と見果てぬ夢、人生に潜む魔を描きました。『叫びとささやき』では死者が甦り(ホラーかと思いました)、これも人間に潜む魔=孤独を描きました。いずれも悪夢を見ているような不条理劇ですが、『野いちご』のヒッチハイクの3人の若者、『叫びとささやき』のアンナの存在に救いの様なものがほの見えました。
『秋のソナタ』は『叫びとささやき』に近い作品ですが、病で云えばさらに進行、快癒の見込みがあるのかどうか。

 牧師と結婚しているエヴァ(リヴ・ウルマン)はピアニストの母親シャルロッテ(イングリッド・バーグマン)を7年ぶりに自宅に招きます。旧懐を暖める母娘の会話が、次第に怪しくなってきます。シャルロッテ、エーヴァの一家の姿が徐々に明らかになってきます。