1962年のキューバ危機を扱ったセミ・ドキュメンタリーです。従って、J・Fケネディ、ロバート・ケネディ、ロバート・マクナラマなど現代史を飾る有名どころが登場し、舞台はほとんどホワイトハウスです。

 ソヴィエトが崩壊し東西の冷戦構造が変化した今日、「キューバ危機」って何だと言われそうですが(もちろん私も記憶にありません)、1962年に世界は第三次世界大戦の入り口に立ったことがあります。この危機が如何に回避されたかを描いた、政治ドラマです。「ピッグス湾事件」を背景にした「グッドシェパード」がありますが、あれは、冷戦が生み出したスパイ・マスターの人間ドラマです。「13デイズ」にも人間のドラマはあるわけですが、主役は、あくまで米ソの覇権争いであり、核による世界滅亡の一歩手前で引き返した人間の知恵です。それはたぶん、ケネディ、フルシチョフ個人の資質ではなく、ふたりに代表される人間の理性です。