タイトルを見て大スペクタクル戦争映画を期待しましたが、見事裏切られました。当然に戦車は登場し、パットン大戦車軍団がかの「砂漠の狐」ロンメルと派手に戦車戦を演じてくれますが、映画の実態は「偉大なる時代遅れ」(アナクロニズム)のアメリカ陸軍大将ジョージ・パットンの物語です。これは歓迎すべき期待ハズレで、ジョージ・C・スコット演じる口の悪い頑固親爺パットン将軍は最高です。

 アメリカの軍人と云うと、日本人ならGHQ司令官マッカーサーを連想します。パットンは、戦車にその名を残す以外もうひとつ馴染みがありませんが、東南アジアで軍政に携わったマッカーサーに比べて、北アフリカ、ヨーロッパでナチスドイツと戦ったパットンの方がはるかに絵になる軍人の様です。
 自らを、カルタゴのハンニバル、ナポレオン・ボナパルトの生まれ変わりと信じ、カルタゴの古戦場跡でハンニバルとして戦った己を振り返り、雪の戦場ではモスクワから撤退するナポレオンに思いを馳せるという自己陶酔型。ドイツ人に「パットンは現代に迷い込んだロマンの騎士」と分析されていますがその通りですね。