原題は“Let Me In”。『ぼくのエリ 200歳の少女』(以下エリ)のリメイクです。  原作も読んでいるしオリジナル『エリ』も見ているので今更ですが、意外と面白かったです。こちらの方がホラー色がやや濃いです。
 要するに、吸血鬼の少女と、12歳の少年の「一見」ラブストーリーです。12歳と云う大人でもないさりとて子供でもない少年少女を主人公にすることで、人間と吸血鬼が手を結ぶというホラーがラブストーリーに化けてしまいます。

 吸血鬼は人間の協力者、崇拝者の支援が無いとこの世界では生きて行けません。吸血鬼は太陽光の下では生きられませんから、移動や隠れ家を確保する為には人間が必要となります。吸血鬼アビー(クロエ・グレース・モレッツ)はトーマス(リチャード・ジェンキンス)という人間の下僕と住み、トーマスが殺人によって得た血で生きながらえています。トーマスの猟奇殺人は当然世間の注意をひきますから、一ヶ所に定住するわけにはいかず、各地を転々としているわけで、こういう怪物というのもどこか哀れを誘います。