ジェフリー・ラッシュがアカデミー賞をもらった映画とかで、見たいと思っていたところ都合よくBSで放映されました。オーストラリア実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットの物語です。普通の音楽映画と異なるところは、このピアニストがパニック障害を患っていることです。

 冒頭、雨の日にいきなりジェフリー・ラッシュが現れて精神病を思わせる独特のしゃべりで度肝を抜きます。この人物がデイヴィッド・ヘルフゴットで、どうなるんだろうと思っていると彼の少年時代から物語は始まります。
 映画は、父親ピーター(アーミン・ミューラー=スタール)の溺愛ぶり、少年時代のデイヴィッドの天才ぶりを描きます。ヘルフゴット家はユダヤ系のポーランド移民で、デイヴィッドの祖父母はナチの収容所で亡くなった父親によって説明されています。そのことと関係があるのかどうか、父親は家族というものに異常に執着し、デイヴィッドを溺愛します。デイヴィッドを手放したくない父親はアメリカからの留学の話も断ってしまいます。父親はデイヴィッドの才能の最初の発見者で教師なのか、単なる暴君なのか、デイヴィッドのパニック障害の原因がこの父親にあるのか、よく分かりません。ラストシーンが、父親の墓参りといゆのも何か意味深長です。