『嘆きのテレーズ』が面白かったので、同じ監督マルセル・カルネの名作の誉高い『天井桟敷の人々』を見てみました。
 1946年の映画ですからさすがに古いです。セリフも大げさで時代がかっています。どうしても映画にリアルさを求めてしまいますが、劇的空間でヒーロー、ヒロインが語るセリフですから、これでいいんでしょう。と考えると、フレデリックの「愛するふたりにはパリも狭い」とか、ガランスの「恋なんて簡単」も、モントレー伯爵の歯の浮くような愛の告白も、フレデリックの饒舌も、これはこれでなかなかのものです。作り物を作り物として楽しむと云うことなんでしょう。脚本は、『枯葉』の作詞をした、詩人のジャック・プレヴェールだそうです。
 映画は3時間の長編で、第一部『犯罪大通り』、第二部『白い男』の2部分かれています。インターミッションが入るようなものです。
 一見カラーのようなパッケージですが、モノクロームです。モノクロームのほうが雰囲気が出ます。