ヒッチコックが『サイコ』を作る楽屋話です。ヒッチコックにアンソニー・ホプキンス、その妻アルマにヘレン・ミレンという超ベテランを起用したヒッチコックの舞台裏と言ったほうがいいかもしれません。『サイコ』の舞台裏を見ることができるかと期待したのですが、ジャネット・リー役のスカーレット・ヨハンソンはちょこまか登場するだけ、アンソニー・パーキンス役のジェームズ・ダーシーはいた?という程度です。

 『サイコ』、『鳥』に顕著にあらわれていますが、ヒッチコックの映画は「マザーコンプレックス」がひとつのテーマとなっていると思います。『ヒッチコック』では、コンプレックスの対象が母親に向けられず妻のアルマに向いています。従って、この映画はヒッチコックとアルマの物語です。
 この映画を見るまで、アルマ・レヴィル知らなかったのですが、『断崖』『疑惑の影』『舞台恐怖症』 をはじめヒッチコックの脚本を手がけた脚本家、編集者です。彼の作品の多くが、妻との共同作業だったようです。