織田作の随筆から「大阪」の文字が冠についた随筆を読んでみました。『起ち上る大阪1945年4月』『大阪の憂鬱1946年8月』『大阪の可能性 1947年1月』『大阪発見(初出年月日不明、1947年?)』の4篇です。
 
【起ち上る大阪(1945年4月)】
 1945年3月の「大阪大空襲」後、罹災から起ち上がる大阪人の逞しさを描いています。前年の1944年1月に三高以来の友人・白崎礼三が、8月には愛妻・一枝が亡くなっています。失意の織田作と書きたいところですが、手の速い彼は、『わが町』を上演した劇団の女優・輪島昭子と早くも同棲に入っています。この年、連続放送劇「猿飛佐助」が大阪中央放送局から放送されています。