【昭和17年】
断って置くが、この小説は昭和二十年乃至二十一年の出来事を語っているのではない。昭和十七年八月の出来事なのだ。

 発表は昭和21年の5月~12月ですが、作者は小説の舞台は昭和17年だと断っています。昭和18年に『わが町』が舞台化され、それがきっかけで劇団の女優・輪島昭子と同棲が始まります。『夜の構図』は、『わが町』が舞台化されたため、原作者の織田作が上京し、劇団の女優・輪島昭子と知り合う顛末を描いた小説です。
 昭和19年8月に愛妻・一枝を亡くし、4ヶ月後にはこの輪島昭子と同棲しています。織田作の最期を看取ったのはこの輪島昭子です。