加賀藩の算用者 、猪山家の江戸、明治の物語です。 武士にも色々あり、猪山家は七代続く藩の経理役人で、算盤で殿様に仕える「算盤侍」。加賀百万石ですから算用方が150人いたそうで、多くは薄給の下級武士だったそうです。
 幕末ですから、藩も藩士も商品経済に飲み込まれ、商人から借金して武士の体面をやっと保っていた時代の話です。

 猪山家の当主・信之(中村雅俊)は、自分の代で知行取りになったということが自慢の好々爺。嫡男でこの映画の主人公・直之(堺雅人)は、「算盤バカ」と呼ばれる謹厳実直な経理役人。150人いる藩の官僚組織のいひとりとしておとなしく勤めればいいのですが、算盤の腕によって藩の不正を暴いてしまいます。正義感というより、帳簿が合わないことに我慢ならなかったと云うことです。