加藤哲郎のネチズン・カレッジの「現代史研究室」専門課程2によると、現在流布しているゾルゲのイメージは、
1)ゾルゲを取り調べ裁いた日本側の資料『現代史資料 ゾルゲ事件(みすず書房)』に基づくゾルゲ(ゾルゲ+尾崎秀実の「ゾルゲ諜報団」)
2)GHQ・G2のウィロビーによってまとめられた反共、赤狩りを意図した『赤色スパイ団の全貌 ゾルゲ事件』に描かれたゾルゲ(ゾルゲ+スメドレーの反米スパイ)
3)大祖国戦争の英雄、「ソ連邦英雄」としてのゾルゲ(文字通り祖国を救った英雄)

 この3つに分類されるようです。私などは、(日本人ですから)昭和の東京で暗躍する「ゾルゲ・尾崎諜報団」のイメージを持っています。戦後(と言っても1964年)ソ連で「英雄」となったこと、東京以前に上海で諜報活動をしていたことは知っていましたが、GHQがゾルゲ事件を調べ、スメドレー等反米活動家とひと括りにしてマッカーシズムの宣伝材料にしていたことは、今回はじめて知りました。ウィロビー報告は、原題が“SHANGHAI CONSPIRACY THE SORGE SPY RING(1950)”で、上海の諜報活動をメインに、米国人の反米活動を取り上げたものだそうです。