江戸、小石川療養所を舞台に、長崎遊学から帰った医師・保本登(加山雄三)のビルトゥングスロマンです。保本は、遊学から帰れば御殿医に推挙される筈だったのですが、小石川療養所という江戸市民病院の様なところに配属されます。当てが外れた保本は、こんな所に居られるか!と療養所のルールを無視し診療もせず、療養所からクビを言い渡されるのを待っています。
 診療所の院長は、新出去定こと赤ひげ(三船敏郎)。大名旗本から高額な治療費を取って療養所の運営に当て、貧しい庶民は無料で診療するという人物です。保本は、赤ひげに反発を覚えながら、赤ひげの「医は仁術」に次第に感化され医師として成長してゆくとという、如何にも山本周五郎、黒澤好みの人情ものです。

 三船敏郎と加山雄三も悪くはないですが、人情噺に登場する俳優の演技が素晴らしいです。その人情噺から三編ほど。