絵画には、制作当時の様々な階層の人々の生活が描きこまれています。本書でも紹介されていますが、ボッシュやブリューゲルの絵には、当時の庶民が生き生きと描かれ見飽きません。本書は、絵画に描かれたファッションから当時の風俗や社会を明らかにしようという、美術史と云うより風俗史の解説書です。「ファッションから名画を読む」ではなく、「名画からファッションを読む」と云うタイトルを付けたほうがふさわしいかも知れません。本書を読む面白さもそこにあります。