ローマ帝国がブリタニア(イギリス)に築いた「ハドリアヌスの長城」にまつらう話です。

 紀元2世紀頃、第9軍団の百人隊長であった父親が、ブリテン島の北、スコットランド付近でケルト人に敗れ、軍団の象徴である「黄金の鷲」を奪われ行方不明となります。これがマクラです。

 その子アクイラ(チャニング・テイタム)が、一家の名誉を回復するため、ローマ軍の百人隊長となってブリタニアに赴任します。ケルト人との戦いで負傷して除隊、ブリタニアで傷を養っている時に奴隷の青年エスカ(ジェイミー・ベル)を助けたことで、ふたりは黄金の鷲を探して「ハドリアヌスの長城」を超えます。エスカはブリタニア人で、現在で言えば、イタリア人とイギリス人のふたりがスコットランドで黄金の鷲を探すというストーリーになります。

 「ハドリアヌスの長城」を超えるとそこはローマの支配が及ばない蛮族(ケルト人?)の跋扈する異境。ケルト人に襲われ、エスカの通訳に助けられて異境を進みます。ふたりがケルト人の部族と出会い、ケルト人のエスカは彼等から歓迎されます。ローマ人のアクイラがエスカの主人であることがバレれば殺されますから、エスカはアクイラが自分の奴隷であると偽りその場を取り繕います。このケルト人の部族が黄金の鷲を持っていたことからストーリーは急展開、エスカとアクイラはこれを奪ってハドリアヌスの長城を目指します...。

 原作は、英国人作家ローズマリー・サトクリフによる児童向けファンタジーだそうです。『指輪物語(映画)』の迫力はありませんが、こちらはオークやエルフの登場するファンタジーではなく歴史ファンタジーですから仕方がありません。お子様向けには地味、大人向けにはストーリーが単純で、少し中途半端。紀元二世紀のグレーとブリテン島で、ローマ人とブリトン人が活躍するというファンタジーと思って見ると、それなりに面白いです。
 

監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:チャニング・テイタム ジェイミー・ベル ドナルド・サザーランド