”The Spy Who Came in from the Cold”、原作はジョン・ル・カレの『 寒い国から帰ってきたスパイ 』。ベルリンの壁が存在した冷戦時代、英国情報部のスパイを描くサスペンス映画です。ル・カレの描くスパイは、007とは異なり政治に翻弄される普通の人間として描かれます。主人公のつぶやきです、
スパイを何だと?。だだ下品でみじめな人間だ。俺のような酔いどれや恐妻家が自警団気取りで働いているだけさ。正しき修道士だとでも思ったのか?。
リーマスはハローワークの紹介で「心霊研究図書館」という怪しい図書館に助手として勤めだします。スパイのあわれな末路です。この図書館でリーマスは英共産党の党員ナン(クレア・ブルーム)と出会い恋に落ちます。007であれば高級レストランでマティーニなんでしょうが、ふたりの逢瀬はナンのアパートで手料理と安物のスコッチ。リーマスは、食料品がツケで買えなかったことに腹を立て、店主を殴り刑務所送りとなります。
リーマスは、ベルリンの諜報網を破壊した東ドイツ情報部の高官を失脚させる作戦に従事することになり、「寒い国」東ドイツへと向かいます。面白いのでネタバレ無しです。
リチャード・バートンとクレア・ブルーム ベルリンの壁
ベルリンの壁、東西冷戦を背景に、仕掛け、仕掛けられ、誰が敵で誰が味方なのか分からないスパイの世界が描かれます。『007』や『ジェイソン・ボーン』のように、ハイテク機器も派手なアクションもありません。無いからこそそこには人間のドラマがあるわけで、出色の「エスピオナージ」です。ちなみに『ドクター・ノオ(007は殺しの番号)』の公開は1962年。
出演:リチャード・バートン クレア・ブルーム