彼岸花(壱師、いちし)
路の辺の壱師いちしの花のいちしろく 人皆知りぬわが恋妻こいづまは(柿本人麻呂)
→ばたに咲く壱師(いちし)の花のように、はっきりとみんなに知れ渡ってしまったことだ。私が心より愛する妻への気持ちのことではあるが…。
彼岸花はポピュラーな花だと思うのですが、これ一首だそうです。 クソカズラ(ヘクソカズラ)
ぞう莢(イバラ、サイカチ?)に 延(は)ひおほとれる 屎葛(くそかずら) 絶ゆることなく 宮仕へせむ(高宮王)
→イバラにまといついたクソカズラのように、しがみつくように宮仕えをしよう。宮仕えというのは昔も今も変わりなかったようで、笑うしかないです。クソカズラが万葉集にあるとは、でも雅な万葉人も酷い名を付けたものです。
紫蘇(ツチハリ)
我がやどに 生(お)ふるつちはり 心ゆも 思はぬ人の 衣(きぬ)に摺(す)らゆな(作者不詳)
→私の家の庭に生えたつちはり(我が娘よ?)よ、心から思ってもいない人の衣に摺り染められたりしては駄目だよ
年頃の娘を心配する父親の心境と解釈するとピッタリ、知らんけど。画像は庭のシソで、素麺や冷奴の薬味としてひと夏重宝しましました。どうもツチハリとは違うみたいですが、シソ科はシソ科。