BSシネマ「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本~家族編~」で放映されていました。1937年(昭和12年)の公開です。1937年というと日中戦争が始まった年で、山中貞雄もその日中戦争に出征して戦死します。とても75年前の映画とは思えないほどで、現代の世話物として立派に通用します(しそうです)。江戸の長屋を舞台に、髪結の新三(中村翫右衛門)、浪人・海野又十郎(河原崎長十郎)のふたりを軸に、長屋の店子、大家・長兵衛の織りなすオムニバス。
 長屋で浪人者の首吊り自殺が起き、隣近所が集まる通夜で映画の幕が開きます。新三の計らいで大家の長兵衛をスポンサーに、棺桶を前に飲めや歌えの大宴会。とぼけた長屋の住人達と大家と言えば親も同然の世界は、もう落語の世界です。