邦画の時代物を取り上げるのは初めてです。「人情紙風船」「羅城門」「幕末太陽傳」はちょっと時代物のジャンルではないんではないかと思います。「人情紙風船」はドラマ、「羅城門」はミステリ、「幕末太陽傳」は・・・やはり時代物ですか、ジャンル分けは本当に厄介です。チャンバラがあって血がドバッと飛びますから(それだけではないですが)、「桜田門外ノ変」はこれはもう正真正銘の時代物。

 原作は吉村 昭の名作「桜田門外ノ変」。吉村 昭は「ふぉん・しいほるとの娘」「長英逃亡」「天狗争乱」など幕末の事件を扱った歴史小説が多いですが、綿密な取材と時代背景を描き込んだスタイルは、ノンフィクション・ノベルの趣を持っています。「桜田門外ノ変」もそうした作品のひとつです。