時代物が続きます。 尊皇攘夷の「桜田門外ノ変」と比べると、こちらはもう剣戟もので理屈抜きに楽しめます。
映画と云うのはエンターテイメントですから、あれこれ盛り込んで方向が定まらないより、主題を一本に絞り混んでそれに向かってドラマを収斂させた方が効果があると思われます。「十三人の刺客」は、文字通り十三人の刺客が殺しまくります。殺すという一点に収斂させるわけです。十三人の刺客が殺しまくる映画ですからネタバレでも面白さが減じることはありません。以下完全ネタバレ。

 明石藩主の松平斉韶(稲垣吾郎)という殿様がいるんですが、これが発達障害をかかえたような殿様で、気に入らない藩士を惨殺するは、参勤交代で宿泊した尾張藩の藩士の妻に手を付けその夫を斬り殺すは、もうしたい放題。幕府に知れると大事ですから普通なら隠居させるか何かの手を打つはずですが、この殿様、将軍の腹違いの弟で次期大老?のため誰も手を出せないというわけです。稲垣吾郎クン絶品の演技で、本当にコワイです。