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映画 ガス燈(1944米) [日記(2012)]

ガス燈 [DVD]
 イングリッド・バーグマンで「ガス灯」ですからメロドラマだど思って見ていると、サスペンスでした。もっとも、冒頭で殺人事件が起きていますからそうでもないのですが、「カサブランカ」「誰がために鐘は鳴る」のイメージがあって...。
 霧深いロンドンにボウッとガス灯が灯る時代の話です。霧の中から美女が現れ、霧の中に殺人鬼が消えるわけですから、これはもう舞台としては最高です。

 両親を亡くしたポーラ(イングリッド・バーグマン)は声楽家の伯母とロンドンで暮らしています。この伯母が殺され事件は迷宮入り、ポーラは傷心を抱いてイタリアに留学します。そこでピアノ奏者アントン(シャルル・ボワイエ)と出会い恋におちます。この辺りはメロドラマで、モノクロームの画面にバーグマンの魅力が躍ります。
 このシーンです。

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 問題のこのシーン                  ポーラとアントン 
 
 コモ湖に行く列車の中で、ロンドンのポーラが住んでいた近所の住人と出会い、伯母の殺人事件の話が出ます。この後、ポーラはコモ湖の駅で降りますが、先回りしていたアントンに腕を取られます。この象徴的シーンから、ポーラの恋は変質してゆくのですが、まぁそれは後になって気づくことですね。このオバサンは、後にポーラとアントンがロンドンで伯母の家に住むようになってからも度々登場し、おせっかいをやくという役回りで笑わせてくれます。

 そう、ポーラとアントンは結婚して伯母が殺された家に住むこととなります。ここから映画はサスペンスの趣を強めてゆきます。別に幽霊は出ませんが、殺人事件のあった家に住むわけですからあまり気持ちのいいものではありません。ポーラは徐々に神経を病んでゆきます。実は神経症でもなんでもなく、アントンがポーラを追い込んでゆくわけですが、これはもうミエミエです。観客はアントンの行動に不信を抱き、これはメロドラマでは無さそうだと思い至るわけです。ロンドン塔の博物館で王冠に光るダイヤモンドを見て、アントンの眼もキラリと光るわけですから、これはもうナニです。おまけにです、キャメロン(ジョゼフ・コットン)なる人物が登場して伯母とウリふたつのポーラに声をかけます。「第三の男」のジョゼフ・コットンですから、観客は何かあると身構えるわけです。もっとも、「第三の男」が公開されたのはこの5年の後ですから、「ガス灯」公開時に「身構えた」観客はいません(笑。ポーラを追い詰めるアントンの目的とは何か?キャメロンの正体は?美女ポーラの運命や如何に!です。
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 ガス燈の灯る夜霧のロンドン           夜霧に消える
 
 60年以上前の映画ですからストーリーやプロットは「それなり」です。その辺りの違和感を気にせずに、イングリッド・バーグマンの美貌、夜霧に消えるシルクハットのシャルル・ボワイエ、それを尾行するジョゼフ・コットンを楽しめばいいのでしょう、名画です。監督は「マイ・フェア・レディ」のジョージ・キューカー。

監督:ジョージ・キューカー
出演:シャルル・ボワイエ イングリッド・バーグマン ジョゼフ・コットン

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コメント 2

月夜のうずのしゅげ

ほとんど映画を見ていなかった若い時に、映画の本で見たイングリット・パーグマンが好きだったので、ビデオ屋さんで借りて見ました。小さな店のおじさんに、「ガスと燈」を借りる人は通だと言われました。もっとお話を聞いておけばよかったなと思います。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-06-16 08:41) 

べっちゃん

この頃の女優は気品がありますね。
by べっちゃん (2012-06-16 21:08) 

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