「大審問官」は第2部で語られるのかと思いましたが、「神ちゃま」(私が勝手に言っているだけででそんな章や呼び方はありません)でお茶をにごし結局パスしたようです。この深遠な(退屈な)哲学論議を映画にするとなると、劇中劇では茶番になりイワンの独白では絵になりませんから、パスするより他ないでしょう。
第2部では、長男ミーチャが借金の穴埋めとグルーシェニカを探して走り回ります。グルーシェニカは昔の情夫?が迎えに来て、ミーチャを振ってこの男のもとに駆けつけたのですが、ミーチャはグルーシェニカが父親フョードルの元に行ったと邪推して実家に戻ります。出てきた時は血まみれで、オイ殺したな!です。この後ミーチャは大金持っていることが明らかにされますから、恋敵?父親を殺して借金に相当する3000ルーブルを奪ったことになります。
この3000ルーブルも映画だけでは分かりにくいです。ミーチャはカチェリーナから預けられた3000ルーブルを使い込んでその返済に迫られていいます。一方フョードルはグルーシェニカの歓心を買うために自室に3000ルーブル用意しています。フョードルの3000ルーブルは、スメルジャコフがミーチャに告げていますから、ミーチャはこれを奪うことが出来たわけです。この辺りを登場人物の会話だけで乗り切ろうと云うのですから、ちょっと無理があります。
第2部は、小説第2巻の「大審問官」を飛ばして、第3巻の「フョードル殺人事件」(これも実際には映像化されていません、匂わせているだけです)と3000ルーブルを手にしたミーチャがグルーシェニカを追いかけ彼女の愛を取り戻すというラブストーリーです。やっとのことでグルーシェニカをその腕に抱いたミーチャですが、部屋の外には官憲の手が...。
「大審問官」と「殺人事件」は完全に肩すかしですが、ここまで来たので第3部も見てみます。小説では、書かれなかった第2部を導く第10編「少年たち」が有名ですが、映画第3部ではどう扱うんでしょう。
グルーシェニカ カチェリーナ
スメルジャコフ
監督:イワン・プィリエフ
出演:ミハイル・ウリヤーノフ キリール・ラヴロフ アンドレイ・ミヤフコフ マルク・プルードキン リオネラ・プィリエワ スヴェトラーナ・コルコーシコ