この生贄を捧げた夜、若い女が狼に噛み殺されます。殺されたのは赤ずきんヴァレリーの姉で、鳴りを潜めていた狼が跳梁し始めたわけです。村に現れた狼を人狼だと考えた村の牧師は、狼(悪魔)祓いの異端審問官?の派遣を要請します。現れたのは我らがゲイリー・オールドマン。黒人の配下を従え象の玩具(実は拷問器具)を引っ張って、しかも子連れ。何で子連れかと言うと、子供たちの母親すなわちこの異端審問官の妻が実は人狼で、自ら妻を殺したという異常な過去を持っています。その証拠に切断した妻の手首を持参しているのですが、ゲイリー・オールドマンが演じると、狂気の果てに自分の妻を殺した狂人にしか見えません。
どうでもいいのですが、私はこのゲイリー・オールドマンとい俳優が結構好きで(「レオン」の気違いデカですね)、「赤ずきん」を見たのもジュリー・クリスティとゲイリー・オールドマンが出ている!というのが理由です。フランケンシュタインをやっているくらいですから、こういう役はぴったりです。もうひとつ、異端審問官というと、「宮廷画家ゴヤは見た」のロレンゾ修道士(ハビエル・バルデム)と「薔薇の名前」のベルナール・ギー(F・マーリー・エイブラハム)を連想します。これも余談なんですが、「異端」「異端審問官」というのも大好きで、果たしてゲイリー・オールドマンはこのふたりを超えられるのか!です(笑。
異端審問官の登場などものともせず、牛のような人狼が村人を噛み殺します。ヴァレリーの前に現れた狼は「オレについてこい」と人語を喋ります。オイオイ、赤ずきんちゃんと人狼はどういう関係なんだ。
狼と話したことが異端審問官の知るところとなり、ヴァレリーは魔女と見なされて監禁されます。この辺りからホラー色は後退して、映画は狼の正体誰なんだという謎で引っ張ります。
遙か群衆を離れて 赤ずきん
ジュリー・クリスティーは?ハイ出演されてます。赤ずきんちゃんのおばあさん役です。童話では狼に食べられる役です。訪ねてきた赤ずきんちゃんとおばあさんの会話、
大きな目ね → お前をよく見るためさ
大きなお耳ね → お前の声をよく聞くためさ
大きなお口ね → お前をひと飲みするためさ
これはてっきりジュリー・クリスティが人狼なんだ!これは夢のなかの話で、そんなわけないです。ところがですね、この夢が人狼伝説に関わる伏線なんです。やはり、ジュリー・クリスティは狼なんです、ホンマか?。美貌の女優さんが70歳になるとどうなるか?ちょっと分からないですねぇ。
で、お薦めかというと、ホラー好みの人は確実に物足りないと思います(全然怖くない)。ミステリかというと、狼の正体がわかっても、アッそう、で驚きも何もなし。ファンタジーかというとファンタスティックな要素はゼロ。この手の物はM・ナイト・シャマランの「ヴィレッジ」の方が面白いです。
監督:キャサリン・ハードウィック出演:アマンダ・サイフリッド ゲイリー・オールドマン ヴァージニア・マドセン ジュリー・クリスティ