『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』に続く山田洋次の時代物三部作だそうです。原作は藤沢周平の海坂藩もの。
 藤沢周平、山田洋次ですから、観客の涙と拍手を取るツボは心得たものです。海坂藩の下級武士を主人公に、つましい暮らしの中で若い武士とその妻との愛を、適当に立ちまわりも入れて人情ものに仕立て上げます。
 山田洋次の三部作をみると、三本とも共通の「型」から成り立っています。

・観客の目線に近い冴えない下級武士を主人公にとり、庶民の哀感を前面に押し出す
・この何処にでもいそうな武士が、実は隠れた才能=剣の腕を持っている
・妻または武士の恋人を配置し、最後はhappy endになる悲恋を用意
・武士にとっては災難でもある事件を用意し、実は隠れた才能=剣の腕で乗り切る
・最後は、よかったよかった