『火天の城』は、尾張の宮大工(番匠)岡部又右衛門とその息子以俊を主人公に、織田信長が琵琶湖の東岸、安土に建てた安土城の建造物語です。安土城は1576年に建造され、明智光秀の謀反によって1582年?に天守閣が焼失、1586年に廃城となり現存していません。“地下1階地上6階建てで、天主の高さが約32メートル”の豪壮なもので、復元図、復元模型を見ると、天守が六角の構造物の上に金箔を置いた和風の館が乗るという斬新なデザインの城です。姫路城に代表される、天守閣を持った城郭の最初がこの安土城だったようです。小説の中で、イエズス会の宣教師が天守閣の名前が天守=天主=神(デウス)だとツッコミを入れていますが、天守(主)閣はどうも信長の発明のようです。神の如く、天守から世界を睥睨すると云うことでしょう。