軍事法廷物語です。海軍士官になりたてのキース少尉(ロバート・フランシス)の視線で、海軍と組織が描かれます。少し辛口のビルドゥングスロマンという雰囲気もあります。

 士官学校を卒業したキース少尉は、駆逐艦ケイン号に配属されます。相当に老朽化した駆逐艦で、艦長も乗組員も戦艦同様に“老朽化”、ピリッとしたところがありません。キースはプリンストン卒の絵に描いたようなエリートで、理想を抱いて社会に出たわけですから、この落差に不満を持っているようです。艦長と考え方が合わず、キースの勤務評定は芳しくありません。社会人1年生からつまずくかと思ったところ艦長交代、バンザイです。
 時代設定は1944年、太平洋戦争のまっただ中、舞台はハワイ真珠湾ですが戦争の緊迫感は伝わって来ません。ストーリーにも描かれません。

 クイーグ中佐(ハンフリー・ボガート)が新艦長としてやってくるのですが、これがガチガチの海軍将校。海軍魂を振り回し、ケイン号のたるんだ規律を引き締めにかかります。キースを規律係に任命し、まずはシャツをズボンの中に入れることから始め、戦闘中はヘルメットと救命具を付けるなどまぁ当たり前のことなのですが、出来ない兵士を見つけると休暇を取り上げ、はては全員の休暇まで停止するありさま。当然、全乗組員から総スカンを食います。