この6人と強盗団のリーダーがファミレス集まって朝食をとっています。黒のスーツに黒のネクタイ、葬式か?お前たち。その会話の下品なこと、タランティーノが例の早口でしゃべりまくっています。次第に分かってくるのですが、この6人はお互いに名前も知らない他人同士で、ホワイト、オレンジなどとコード・ネームで呼び合っています。
リーダーのジョーは、自ら集めた6人の犬たちを使って宝石強盗をやろうと云うことです。Mr.ピンクのコードを与えられたスティーヴ・ブシェミは、なんでオレがピンクなんだと文句を言い、チップの1ドルを払わないと言い張ってその哲学を披瀝したり、その喧しいこと。それぞれが勝手なこと言い合い、喧騒ならぬ「犬」騒。
シーンは一転、ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)とオレンジ(ティム・ロス)が車で逃走しています。オレンジは銃で撃たれ血まみれ。宝石店を襲っとことは襲ったようですが、警官の反撃にあって銃撃戦になり、オレンジは撃たれたようです。漸く集合地点の倉庫に辿り着きます。やがてピンクが現れ、今回の「やま」はどうもおかしい、警官が待ち受けていたのではないか、警察に計画を漏らした奴がいるのではないか、という話になります。
続いてブロンド(マイケル・マドセン)が警官ひとりを誘拐して現れます。この警官の自白によって、6人の中に潜入捜査官がいることが明らかになります。名前を割り出すために、ブロンドは警察官に凄まじい拷問を加えます。ブロンドは間違いなく狂犬です。
負け犬が次々と集まってきます。リーダーのジョーとその息子のエディが現れ・・・
・・・そして誰もいなくなった!。
面白いのは、ファミレスシーンで6人の顔見せがあって、いきなり失敗のシーンに移り、強盗団が結成される回想シーン、例えばオレンジがメンバーになった経緯、刑務所を出所したブロンドがジョーに仕事の斡旋を依頼するシーンなどを挿みラストへ雪崩れ込むという構成です。宝石店襲撃シーンは一切描かれていません。描かれていないことが、この『レザボア・ドッグス』の秘密かなと思います。
タランティーノは宝石強盗の映画を作ったのではなく、狂犬、忠犬、駄犬などの犬たちを駆集め、けしかけ、負け犬となる映画を作ったのでしょう。その犬たちは、ホワイト、オレンジという符牒で呼ばれる雑種犬で、負け犬たちはお互いに噛み合って共倒れに終わるという、まぁ見方によっては、相当象徴的な映画です。
タランティーノのこのノリについて行けません、今回もタランティーノは鬼門でした。もうタランティーノは見ないぞ!
監督:脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル ティム・ロス マイケル・マドセン クリス・ペン スティーヴ・ブシェミ