子母澤寛が、新聞記者時代にコツコツと調べたものを一冊にまとめたもので、処女作だそうです。巻末の尾崎秀樹の解説によると、子母澤寛は北海道石狩の出身で、祖父は上野・彰義隊の生き残り、敗走して五稜郭で戦い北海道に住むようになったとのこと。幼い頃祖父に引き取られて成長し、そのことが子母澤寛の小説に影響を及ぼしているということです。

 本書の強みは、当時存命であった新選組の関係者の証言に基づいていることです。本書は、昭和3年(1928年)の出版です。近藤勇が亡くなったのが1868年、新選組の生き残り、斎藤一、永倉新八が亡くなったのが1915年ですから、新選組がほんの昨日の出来事であった時代です。