映画『阪急電車』が面白かったので原作を読んでみました。職場で阪急沿線の友人に尋ねると、けっこう見たか読んだ人がいます。ローカルでは圧倒的な人気を誇ったようです。

 大筋は映画と同じですが、大きく違っているのは、冒頭と終章の「宝塚駅」に征志、ユキという男女が登場します。映画では、 関西のオバチャンをやっつけるのは時江(映画では宮本信子)でしたが、原作ではこの征志とユキのカップルも活躍します。

 毎日同じ通勤電車に乗っていると、何処の誰かは知りませんが顔なじみが出来るものです。別に挨拶をするわけでも無し、同じ車両ですれ違ったり隣り合わせに座ったりして、それぞれの駅で降り、それぞれの職場なり学校なりに向かいます。向こうは向こうで、このオッサン今日も乗ってる、昨日と同じスーツやないか、とかなんとか思っているんでしょうね。
 普通はあり得ないのでしょうが(だから映画では「片道15分の奇跡」と注釈が付いていますが)、同じ車両に乗り合わせた人たちが関係を持ったらたら如何なるドラマが展開するのか。誰もが一度は空想することを、小説にし、映画にしたところが面白いところです。