ナチのホロコーストを背景とした映画です。1942年に屋内競輪場に「狩り集め」られたパリのユダヤ人(ヴェル・ディヴ事件)の運命を描いている点で、『黄色い星の子どもたち』とよく似ています。女性ジャーナリストが、1942年のユダヤ人少女サラの姿を追うというミステリの構図をとり、現在と1942年の過去のふたつの時間軸を持つ映画です。

 米国人のジャーナリスト・ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、ナチのホロコーストを取材するうちに、転居しようというパリのアパートが、ホロコーストの舞台となっていたことを知ります。
 ナチに命じられたヴィシー政権は、ユダヤ人をアパートから追い出し、屋内競輪場に集め、男女子供を分けて各地の収容所に送りました。ジュリアのアパートにも多くのユダヤ人が住んでおり、転居予定のアパートの部屋には1942年当時スタルジンスキという一家が住んでいたことが判明します。スタルジンスキ夫妻は東欧の収容所で殺されていますが、ふたりの子供、サラ・スタルジンスキとその弟は行方不明となっていることを知り、ここからジュリアのサラ姉弟探索が始まります。