原題:LA GRANDE ILLUSION
 先日『天井桟敷人々』を見て、古いフランス映画もいいものだと、名作『大いなる幻影』を見てみました。タイトルがいいですね(日本公開は1949年)。大いなる幻影、フランス映画、ジャン・ギャバン、それだけで見たくなります。

 第一次世界大戦の話です。戦争映画ですが、戦闘場面は一切ありません。フランス軍のマレシャル中尉(ジャン・ギャバン)とド・ボアルデュー大尉(ピエール・フレネー)は偵察飛行でドイツ軍に撃墜され、ふたりはドイツ軍の捕虜となります。
 撃墜したのはラウフェンシュタイン大尉(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)。12機目の撃墜だと言っていますから、独軍のエースパイロットなのでしょう。余談ですが、この人のウィスキーの飲み方はかっこいいです。グラスを口元に当て、上体を反り返して一気に飲みます。
 ラウフェンシュタイン大尉は、健闘を称えるため撃ち落とした敵機のマレシャル中尉とド・ボアルデュー大尉を食事に招待します。当時は、こういう騎士道精神のようなものがあったのでしょうか。ちなみに、ボアルデュー大尉はフランス貴族、ラウフェンシュタイン大尉はドイツ貴族です。